電線管とは?種類や特徴、使用用途についてわかりやすく解説

電線管とは(1024×341)

電線管とは、その名前の通り電線やケーブルを保護するために使用する管(パイプ)のことを指します。普段はあまり目にする機会がないため、私達の生活にどのようにして役立っているのかを知っている人は少ないかもしれません。電線の保護以外には、電線を隠蔽することによる美観の改善、機材劣化などによる漏電のリスクを軽減、電線交換の簡便化が挙げられます。

電線管とは言っても、その種類は多岐にわたります。製品ごとのバリエーションに加え、サイズによって使用する用途、場所などが大きく異なります。
今回は電線管の種類や使用用途、材質ごとの特徴を紹介するので、製品を選ぶ際の参考にご覧ください。

電線管の素材や用途

ここでは、電線管の素材や用途・場所について解説します。

電線管の素材

電線管は、様々な環境下でも使用できるよう色々な素材の種類がありますが、金属または合成樹脂等の非金属製の素材が一般的です。
場合によっては、折り曲げて使用することや過酷な環境下で使用することもあるため、環境に適した素材を選択することが非常に重要となっています。

電線管の主な使用用途・使用場所

電線管を使用する主な目的は、電線・ケーブルの保護にあります。電線やケーブルを露出した状態で配線することもできますが、何らかの拍子で電線が損傷してしまうと電力供給が絶たれてしまう恐れがあります。
電線にダメージを負ったままでも使用できる場合もありますが、最悪の場合では火災につながる原因にもなってしまいます。そのため、電線やケーブルを保護するための管が必要となります。

また、電線管は電線やケーブルを保護する役目に加え、万が一のトラブルの際には、電線やケーブルの取り出しがしやすいというメリットがあります。特に隠蔽配線が施されている場所では、メンテナンスの時間を大幅に短縮することが可能です。

一方で、電線管が使用されている場所は実に様々で、屋内の場合もあれば屋外に設置することもあります。
屋外であれば街灯、高速道路、トンネル、電気メーターなどに使用され、屋内においては工場などの機械周り、LANケーブルの引き込み、ビルや学校といった部屋室数が多い建造物での電線の引き込みなど、目に見えない場所で私達の生活の多くを支えています。

電線管の種類

一口に電線管といっても、その種類は多岐にわたります。電線管の形状や材質、性能等を踏まえ、環境に応じて適したものを選ばなければ、本来の性能を発揮することはできません。
このパートでは、電線管の「形状ごとの種類」と「材質ごとの種類」でまとめているので、実際に製品を選ぶ際の参考にご覧ください。

【形状ごとの種類】

形状直管電線管可とう電線管
参考画像
特徴曲げることはできないが、強度が高く外からの衝撃に強い。任意の角度に曲げることが可能で、幅広く施工することができる。
使用用途ビル屋上・学校などの露出配管や地中埋設管として使用される。施工が難しい機械周りや複雑な曲げ加工が必要な場所などに使用される。

直管電線管

「直管電線管」とは、棒状の電線管です。曲げることができないという欠点はありますが、シンプルな形状のため施工が比較的容易に行うことが可能です。材質にもよりますが、建物の外壁や地中埋没など幅広く使用することができます。

可とう電線管

「可とう電線管」は、直管電線管では施工できない箇所に使用することができます。任意の角度に曲げることができるので、機械周りなどのスペースが限られた場所に用いられることが多いです。

【材質ごとの種類(金属)】

電線管薄鋼電線管
(C管)
厚鋼電線管
(G管)
ねじなし電線管
(E管)
金属製可とう電線管
形状直管電線管直管電線管直管電線管可とう電線管
参考画像
特徴厚鋼電線管に比べて薄く、屋内の露出した配線などに使用される。重量が軽く、取り扱いやすい。溶融亜鉛メッキが管面に施されている肉厚な管で、耐候性があるので直射日光の当たる場所でも長期間メンテナンスが不要。薄溝電線管より肉薄な管でねぎきりができないので、ねじなし電線管という。G管やC管より収容できる電線の本数が多い。金属の堅牢さを持ちながら複雑な曲げ加工が可能。その分コストが高め。
使用用途主に屋内や天井裏などで使用される。耐候性・耐腐食性が高いので、屋外で使用される。主に屋内や天井裏などで使用される。屋内全般。樹脂コーティングを施したものは屋外も施工可能。

薄鋼電線管(C管)

「薄鋼電線管」は、通称“C管”とも呼ばれる電線管です。その名の通り材質である金属の厚みが薄いので使い勝手がよく、一般的に広く使われている電線管です。強度面はやや落ちるため、主に屋内で使用されています。

厚鋼電線管(G管)

「厚鋼電線管」は、通称“G管”とも呼ばれる電線管です。薄鋼電線管に比べて厚みがあり、重量があるものの強度面に優れています。外的衝撃を受けやすい屋外で使用されることが一般的です。

ねじなし電線管(E管)

「ねじなし電線管」は、通称“E管”とも呼ばれる電線管です。ねじ溝がない分、薄鋼電線管よりも、やや多めの電線を入線することが可能となります。

また、軽量のため施工しやすいという利点もあります。ねじなし工法で用いられ、軽さと強度を兼ね備えているので、薄鋼電線管と同じく広く使われています。

金属製可とう電線管

「金属製可とう電線管」は、手で自由自在に曲げることができる電線管であり、金属でありながら施工しやすく振動を吸収する効果を持つのが特徴です。

この電線管は「プリカチューブ」とも呼ばれ、外層に亜鉛メッキ鋼帯を用いたものと、外層の亜鉛メッキ鋼帯をさらに樹脂で覆ったものがあります。

前者は機械周りなどの屋内で使用され、後者は耐水性・耐候性に優れているので、湿気や水気のある場所など屋外で使用されます。

【材質ごとの種類(合成樹脂)】

電線管薄鋼電線管(C管)PF管CD管FEP管
形状直管電線管可とう電線管可とう電線管可とう電線管
参考画像
特徴厚鋼電線管に比べて薄く、屋内の露出した配線などに使用される。重量が軽く、取り扱いやすい。合成樹脂の可とう電線管。自己消火性をもち、露出配管に使用される。合成樹脂の可とう電線管。自己消火性がないので、コンクリート埋め込み配管に使用される。合成樹脂の可とう電線管。衝撃や圧力に強く、主に地中埋設配管として使用される。
使用用途屋内・屋外問わず使用できる。屋内・屋外問わず、隠蔽配管・露出配管に使用できる。コンクリート埋設専用。地中埋設専用。

VE管

合成樹脂製の直管電線管は、通称“VE管”と呼ばれています。金属製の管と比べて軽く、コスト面も低いので非常に使い勝手のいい電線管です。金属のように錆びず、絶縁性、美観性に優れている反面、外的衝撃には弱いのが欠点として挙げられます。

屋内・屋外問わず使用できますが、爆燃性粉じんや可燃性ガスのある場所などでは使用できません。
また、紫外線による経年劣化での割れが起こることがあります。

PF管

合成樹脂製の可とう電線管(PF管)は、カッターなどの刃物で簡単に切断できるだけではなく、手で容易に曲げられる使い勝手の良さで様々な場所で使用されています。

PF管はよくCD管と比べられますが、その大きな違いは自己消火性があるかないのかの違いです。
PF管は自己消火性が備わっているので、屋内・屋外問わず、隠蔽配管や露出配管時に使用することができます。

CD管

合成樹脂製の可とう電線管(CD管)は、コンクリート埋設専用の電線管です。PF管には自己消火性が備わっていますが、CD管にはそれがありません。

PF管と見た目の形状はほぼ同じですが、両者の大きな見た目の違いは、管の色にあります。CD管はオレンジ色(橙色)である一方で、PF管はベージュ・グレー等のオレンジ以外の色になります。

FEP管

「FEP管」は「波付硬質ポリエチレン管・地中埋没管」とも呼ばれる電線管です。管の波付構造により、荷重によるたわみを小さく抑えられ、通線がしやすい為、地中埋設での使用に特化しています。

【材質ごとの種類(合成樹脂被覆鋼管)】

電線管ポリエチライニング電線管フレキシブル電線管
形状直管電線管可とう電線管
参考画像
特徴外面2層・内面1層のエポキシコーティングが施されており、防食性に優れている。合成樹脂被覆鋼管製の可とう電線管。ビニル皮膜が施されているため、防水性・耐油性に優れている。
使用用途主に屋外や地中埋没で使用される。屋内・屋外問わず、様々な環境で使用される

ポリエチライニング電線管

「ポリエチライニング電線管」は、鋼管に合成樹脂の被膜を施した電線管です。鋼管の強度に加え、樹脂による防食性も備えています。主に屋外や地中埋没で使用されますが、上下水道の浄水場、化学工場などの薬害地域でも使用されています。

フレキシブル電線管

「フレキシブル電線管」は、合成樹脂被覆鋼管製の可とう電線管です。
“フレキシブル”とは、柔軟性があるさまのことを指しており、この意味を用いた“フレキシブルチューブ”は、自由自在に曲げることができる金属管として、工作機械周りや自動化機械等の固定配管など幅広い場所で使用されています。柔軟性を持ちながら、ビニル被覆による防水性と耐油性に優れています。

まとめ

電線管には様々な種類がございますが、どれも特定の環境・用途に合わせた製品になっています。
そのため、実際に製品を選ぶ際は、コスト面だけではなく、製品の特性・仕様を踏まえ、使用環境に応じた製品選びが非常に重要です。電線管を購入する際は、使用環境と製品性能をしっかり確認・検討することを強くお勧めします。

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