電材とは?種類や特徴をわかりやすく解説

電材とは(1024×341)

電材とは

電材とは「電気設備資材」を略したもので、電設資材ともいわれます。電気設備や配線工事に使用される資材全般を指すため、とても意味の広い言葉です。

照明器具、スイッチ、コンセントから、分電盤、電線、ケーブル、遮断器といった工事資材、スリーブや端子、絶縁テープなどの消耗品まで、住宅やビルなど身の回りの多くの場所でも見ることができます。

電材の種類 

電材は、A材・B材・C材の三つのカテゴリーに分類されます。
この三種類は、工事の見積もりである積算を行うため、費用の分類として便宜上使用されているものです。以下に、A材、B材、C材の特徴と主な電材を上げます。

分類特徴主な電材
A材電気工事に使用される機器類。
サイズが大きく、比較的価格も高価なものが多い。
配電盤、分電盤、照明器具、火災報知器、インターホン、電力計など
B材電気工事に使用させる材料で、A材に分類されず、消耗品でないもの。電線、ケーブル、ボックス、電線管など
C材電気工事に使用される消耗品で、比較的安価なものが多い。スリーブ、圧着端子、絶縁テープ、ビス、ネジなど

主な電材

ひとくちに電材といっても、その種類は多岐にわたります。
そこで、以下では代表的な電材を紹介していきます。

電線・ケーブル

電気機器を電源や他の電気機器と接続する電線は、電気工事ではほぼ必ず使用する電材です。
導体を絶縁体で覆ったものが絶縁電線、絶縁電線をさらにシースで保護したものがケーブルと呼ばれます。

略称正式名称特徴・用途
IV600Vビニル絶縁電線一般家庭やビルの屋内配線で使用される。
HIV600V二種ビニル絶縁電線IVより許容温度が高い。
DV引込用ビニル絶縁電線低圧用の架空引込線として使用される。
OW屋外用ビニル絶縁電線屋外架空配線に使用される。
VVF
(VV-Flat)
600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形一般家庭で広く使われているケーブル。
VVR
(VV-Round)
600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形VVFの丸型。
VVFより太い線があるので、幹線にも使用される。
CV600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル屋内・屋外・地中配線など幅広い用途に用いられる。
VVFより許容電流が大きいのが特徴。
CTキャブタイヤケーブル移動用機器の接続に使用されるケーブル。
VCTビニルキャブタイヤケーブルシースにビニル素材を使用したキャブタイヤケーブル。
電圧300V以下のものはVCTFという。

電線管・カップリング

電線管とは電気工事で使用される電線をおさめるための管のことで、金属管合成樹脂管の2種類に分けられます。電線管の接続に使用するものはカップリングといわれます。

【金属管】

名称記号特徴
薄鋼電線管C管肉薄の電線管で、主に屋内工事に用いられる。
工具を使いねじを切って使用する。
厚鋼電線管G管肉厚な電線管で、内外に融解亜鉛メッキが施されている。
主に屋外工事に使用される。
ねじなし電線管E管ねじ切りなしで使用する電線管で、C管よりもさらに肉薄になっている。
主に屋内工事に使用される。
二種金属製可とう電線管
(プリカチューブ)
F2折り曲げて使用することのできる電線管。

【合成樹脂管】

名称記号特徴
硬質塩化ビニル電線管VE管一般的な合成樹脂管。金属管。
金属管よりも加工しやすく、錆びることもないが、金属管よりも弱く、可燃性がある。
可とう電線管PF管屋内・屋外の配管工事に使用される。
可とう電線管CD管コンクリート埋設工事に使用される。
可とう電線管
(波付硬質合成樹脂電線管)
FEP管地中埋設工事に使用される大口径の樹脂管。

【カップリング】

名称 特徴
カップリングC管、G管など金属管同士を接続する時に使用される。
ねじなしカップリングねじなし電線管同士を接続する時に使用される。
ユニオンカップリング薄鋼電線管同士を接続する時に、両方の管を回せない場合に使用される。
PF管カップリングPF管同士の接続に使用される。
TSカップリングVE管同士の接続に使用される。
コンビネーションカップリング別々の種類の電線管同士を接続するために使用される。
電線管、合成樹脂管どちらにも使え、接続する電線の種類によっていろいろなタイプがある。

配電盤・遮断機

配電盤は、電力会社から送られてきた電気を各回路へと分配するための電材で、各照明やコンセントなどさらに細かく分配するものは分電盤といわれます。 遮断器は過電流や漏電などの事故が起きた時、電気を遮断して回路の安全を図るものです。

名称特徴
配電盤各分電盤等へ電気を配る盤で、一般的にはビル等の高圧キュービクルを指すことが多い。
分電盤コンセントや照明、機械などの各機器に電気を分配する。
一般家庭やビルの各フロアに設置される。
配線用遮断器過電流が流れた時、電路を遮断する遮断器。
漏電遮断器地絡(漏電)を検知して電路を遮断する遮断器。
ヒューズ過電流が流れると、溶けて電路を遮断する電子部品。

スイッチ

点滅器とも呼ばれ、照明器具のオンとオフを切り替えるための電材です。

名称特徴
タンブラスイッチ屋内電灯の点滅などに広く使われる最も一般的なスイッチ。
埋込形と露出形の二種類がある。
表示ランプ付スイッチ玄関やトイレの照明でよく使われるスイッチ。
スイッチが切れていて照明が消えているときでもスイッチの場所が分かるように、小さなランプが内蔵されている。
プルスイッチ
(キャノピースイッチ)
ヒモを引いてオン・オフを切り替える。
キャノピースイッチは照明器具そのものに取り付ける。
センサースイッチ人の出入りを感知して自動でオン・オフを切り替えるスイッチ。
オフィスビルやトイレ、屋外等で使用される。
調光スイッチ照明の明るさを調節することができるスイッチ。

コンセント

電気機器に電源を供給するための接続器の差込口で、壁や床などに固定して使用する電材のことです。

名称特徴
埋込型コンセント住宅等の壁面に埋め込んで使用するコンセント。
露出型コンセント壁面に直接取り付けるコンセント。
防雨コンセント雨滴の侵入を防止するカバーの付いたコンセント。
フロアコンセント床下に収納しておき、使用する時に持ち上げて使用するコンセント。
オフィスなどでよく使われる。
引掛形・抜止形コンセントプラグを差し込み、回転させて固定するコンセント。
接地極付コンセント接地極付プラグを差し込めるコンセント。
台所・洗面所・トイレなど水まわりで使用される。
接地端子付コンセント通常の差込口に加え、アースターミナル(接地端子)が付属しているコンセント。
電気機器から出ているアース線を接地端子に取り付けることで接地が行える。

ボックス

ボックスは電線を接続する目的で使用される電材です。

名称特徴
アウトレットボックス電線管から電線やケーブルを引き込み、接続や分岐させるために使用する。
プルボックスたくさんの電線管から電線を引き込み、接続・分岐・交差などを行うためのボックス。
名前の由来は引っ張るという意味の英単語Pullからきているので、プールボックスではなく、プルボックスが正しい。
コンクリートボックスコンクリート埋設配管で使用するボックス。
スイッチボックススイッチやコンセントを取り付けるために使用するボックス。
埋込形用と露出形用がある。

スリーブ・コネクタ・端子

スリーブやコネクタ、端子は、電線の接続に使用される電材です。

名称特徴
リングスリーブ電線同士を接続する時に使用する材料。
差し込みコネクタ電線を接続するときに使用する資材。
電線を差し込むだけで接続できる。
圧着端子電線の端末へ取り付けて使用する接続部品。
圧着工具によって電線と端子が強固に固定される。

電材の購入方法

電材を実際に購入するときには、どういった方法があるのでしょうか。電材の主な購入方法をご紹介していきます。

電材メーカー、卸業者から購入

電材にはいくつかの購入方法がありますが、その一つが卸業者や電材メーカーから直接購入する方法です。

卸やメーカーと取引すると、カタログを貰うことができます。カタログは電材を選ぶだけでなく、どういう電材が販売されているかを知るためにも使えるので、持っていると非常に役立ちます。

通販で購入

ネット通販を利用して、電材を購入する方法もあります。最近は、ネットでも電材を扱っているサイトが増えてきました。

電材専門のサイトもありますし、電材だけでなく事務用品なども取り揃えているサイトなら、他の製品とまとめて購入することも可能です。

ホームセンターで購入

電材は、ホームセンターでも購入することができます。通常のホームセンターは、ネットや卸業者と比べると、やはり品揃えの面で劣ります。

しかし、最近ではホームセンター各社が電材や建材といったプロ向けの商品を扱う店舗に力を入れるようになっており、そうしたプロショップなら豊富な電材を購入することができます。

まとめ

電材という用語は、電気工事に使用するあらゆる資材を指しているため、とても幅広い意味をもっています。

非常に奥深いため掴みどころがないように見えますが、この記事で紹介したように種類ごとに分類することによって分かりやすくなるのではないでしょうか。電気設備工事には必要な資材ばかりですので、ぜひどの電材がどういう使い方をするのを理解するようにしてみてください。

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