電磁開閉器(マグネットスイッチ)とは?役割や選定のポイント、接触器との違いを解説

電磁開閉器とは(1024×341)

電磁開閉器(マグネットスイッチ)とは、電磁接触器(マグネットコンタクター)とサーマルリレーを組み合わせた機器で、モーターを稼働・制御するうえでモーターの焼損などの事故を未然に防ぐ重要な役割を担っています。文字記号は「MS」と表記されます。モーターの操作に使用され、電気回路の開閉、過負荷に対して保護する機能が備わっています。

サーマルリレー(熱動継電器)の役割

サーマルリレーは「熱動継電器」とも呼ばれています。サーマルリレーには異常電流の発生による発熱を検出する機能が備わっていますが、回路を遮断する機能はありません。

しかし、電磁接触器は回路を遮断することができるので、2つを組み合わせることによって、回路の遮断・保護を行うことができます。回路を保護するためには、異常電流の発生を検出できるサーマルリレーの役割が必要不可欠です。

電磁接触器(マグネットコンタクター)との違い

電磁開閉器と電磁接触器は名前が似ていることもあり、よく混同されがちな機器です。しかし、別物であるかといえばそうではありません。

電磁接触器は電磁開閉器の一部を構成する部品でもあり、サーマルリレーと組み合わせたものが電磁開閉器です。サーマルリレーによる保護があるかないかの違いだけであり、2つの機器は機能の差こそありますが、全く別のものではないのです。従って、サーマルリレーの有無で電磁開閉器と電磁接触器を容易に見分けることが可能です。

電磁開閉器の選定方法

電磁開閉器は以下の基準で選定します。

  1. 定格容量(kW)…動かしたいモーターの定格容量に合わせる
  2. 定格電流(A)…流したい電流以上のものを選ぶ
  3. 主回路電圧…接続する負荷装置の電圧が100Vか200Vかで選択(モーターの電圧)
  4. コイル作動電圧…コイルの作動電圧(電磁開閉器の電圧)
  5. 本体の大きさ…取り付ける場所に収まるサイズのものかどうか
  6. 補助接点数…a接点・b接点のどちらで、補助接点がいくつ必要なのか
  7. サーマルリレーのダイヤル…設定できる電流値の幅

中でも、「コイル作動電圧」と「サーマルリレーのダイヤル」には特に注意しておきましょう。

と言うのも、「コイル作動電圧」は、間違えやすい項目の1つであり、主回路電圧が同じ200Vでも、コイル電圧は100Vもしくは200Vの場合があります。コイル電圧を間違えると機器が焼き付いてしまうので、選定する際には注意が必要です。

また、選定基準ではありませんが、「サーマルリレーのダイヤル」には電流値を設定する調整つまみ(電流設定ダイヤル)が備わっています。このつまみには「RC」もしくは「TC」のどちらかが記載されています。この表記によって設定が異なり、「RC=定格電流値を設定」、「TC=定格電流値×1.25倍を設定」となっています。設定方法を間違えると動作に悪影響を及ぼす可能性があるので、設定の際にはよく確認しておきましょう。

電磁開閉器の寿命と交換頻度(更新時期)

電磁開閉器の寿命はおよそ10年が目安となっています。
寿命の定義として「通電できる」、「開閉できる」、「過負荷動作する」、「使用電圧に耐える」の4つの項目がありますが、これらのどれか1つでも欠落した場合、機器の寿命であるといえます。

また、製品が規定する開閉回数を超えた場合も更新時期となります。
更新を怠ると火災や感電の危険性もあるため、保守点検はこまめに行ないましょう。
なお、電磁開閉器が劣化する要因は下記の通りになります。

【電磁開閉器の劣化要因】

テストボタン漏電表示装置機械的要因その他要因
・高温
・低温
・湿気
・腐食性ガス
・化学生成物
・オイルミスト
・過電圧
・過電流
・サージ電圧
・高周波電流
・開閉電流
・開閉頻度
・開閉回数
・振動
・衝撃
・外部応力
・施工不良
・異物混入
・外傷

まとめ

電磁開閉器を必要とする場合、同時にサーマルリレーについても知っておく必要があります。また、電磁開閉器を設置することによってモーターの保護を行うことができますが、そのためには日頃からの保守点検が重要となります。

更新時期などを怠ると、感電や火災の原因となってしまうので、設置する際には保守点検も視野に入れて選定するようにしましょう。

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