配線器具とは?種類や特徴、用途を詳しく解説
目次
配線器具とは
配線器具とは、電流の受け口になる器具のことで、コンセントやプレート、スイッチ、引掛ローゼット・シーリングなどを指します。
配線器具は、主に「家庭用配線器具」と「工事用配線器具」の2種類に分けられます。
延長コードやテーブルタップなど、一般家庭でも使用される配線器具は、「家庭用配線器具」に分類されます。一方、壁取付型のスイッチやコンセント、引掛ローゼット・シーリングなどは「工事用配線器具」に分類され、取り付けや交換を行うためには電気工事士の資格が必要になります。
配線器具の種類と用途
一口に配線と言っても、その種類は多岐にわたります。ここでは、代表的な配線器具をご紹介します。
スイッチ
照明や換気扇をON・OFFするために使用されるのがスイッチです。スイッチにもさまざまな種類があり、用途や場所に応じて使い分けられています。
ほとんどのスイッチは、手動でON・OFFを行いますが、センサーで人を感知するスイッチや、照明の明るさ調節が行えるものなど、特殊なスイッチも存在します。
種類 | 特徴・用途 |
片切スイッチ | 「電圧線」と「中性線」の2本の電源配線のうち、電圧線だけをON・OFFするスイッチ。 照明や換気扇のON・OFFなど、家庭の中のさまざまな場所で使用される。 |
両切スイッチ | 「電圧線」と「中性線」の両方の電源配線をON・OFFするスイッチ。 家庭の中では、エアコンやIHの調理器具などによく使用される。 |
3路スイッチ | 1台の照明を2ヶ所からON・OFFするスイッチ。 主に階段や廊下、あるいは寝室などで使用される。 |
4路スイッチ | 3ヶ所以上からON・OFFするときに、「3路スイッチ」と組み合わせて使用するスイッチ。 |
表示ランプ付スイッチ | スイッチの場所が分かるように小さなランプが内蔵されているスイッチ。 スイッチが「切」の時、表示ランプが光るスイッチ(「ほたるスイッチ」、「オフピカスイッチ」)と、 スイッチが「入」で表示ランプが光るスイッチ(「パイロットスイッチ」、「オンピカスイッチ」)がある。 |
タイマー付スイッチ | タイマーで自動的に操作できるスイッチ。 浴室やトイレの換気扇などでよく使用される。 |
調光スイッチ | 照明の明るさをコントロールできるスイッチ。 |
センサースイッチ | スイッチに内蔵されたセンサーが人体の発する赤外線を感知して、自動的にON・OFFするスイッチ。 センサースイッチの種類・用途に応じて、住宅の玄関・廊下や事務所ビルのトイレ、給湯室などで使用される。 |
コンセント
壁や床に設けられた電気を供給するための差し込み口がコンセントです。
家庭用100Vのものが一般的ですが、接地極付や200V用のコンセントもあります。
種類 | 特徴・用途 |
埋込形コンセント | 壁面に埋め込んで使用するコンセント。 |
露出形コンセント | 壁面に直接取り付けるコンセント。 |
防雨コンセント | 雨水の侵入を防止するカバーの付いたコンセント。 |
フロアコンセント | オフィスなどでよく使用される、床面に取り付けるタイプのコンセント。 未使用時は床下に収納し、使用時にはカバーを開けて使用する。 |
抜止形コンセント | プラグを指して回すと抜けなくなるコンセント。 コンセントの穴が平仮名のこの字形をしているのが特徴。 |
引掛形コンセント | プラグを挿して捻ると抜けなくなるコンセント。 抜止形コンセントよりも、より抜けにくい構造である為、業務用機械の電源などに適している。 |
接地極付コンセント | 通常のプラグに、接地極付プラグを指すための穴が設けられているコンセント。 事務所や工場などの業務用でよく使用される。 |
接地端子付コンセント | 通常のプラグの下に接地専用端子(アースターミナル)があるコンセント。 台所や洗面所、トイレなど水まわりに使われる。 |
接地極接地端子付 コンセント | 接地極付コンセントに接地端子がついたコンセント。 台所や洗面所、トイレなど水まわりに使われる。 |
テーブルタップ | コンセントから離れた場所にある電気機器に電源を供給する延長コード。 複数のコンセントを収納したケースにプラグ付コードを接続した器具で、電源タップ、マルチタップともいう。 |
プレート関連
プレートは、主にスイッチボックスに取り付け、スイッチやコンセントを保護するカバーとして使用されるものです。
種類 | 特徴・用途 |
コンセントプレート | コンセントやスイッチを保護するために使用するプレート。 取付場所やスイッチ・コンセントの種類に応じた様々なプレートがある。 |
カバープレート | 使わなくなったコンセントやスイッチの穴を塞ぐためのプレート。 |
ブランクチップ | 不要な差し込み口のみ塞ぎたい時に使用するプレート。 |
連用取付枠 | スイッチやコンセントなどの埋込連用器具を取り付けるための枠。 |
天井用配線器具
天井用配線器具は、シーリングライトなどの照明器具を設置するための受け口となる配線器具で、引掛けローゼットやシーリングなどがあります。
種類 | 特徴・用途 |
引掛けシーリング | 照明器具を天井に取り付けるための電源ソケットおよびプラグ。 ボディの種類は、丸型や角型などがある。 |
引掛けローゼット | ペンダントライトやシャンデリアなど、重いタイプの照明器具を天井に取り付けるための電源ソケットおよびプラグ。 引掛けシーリングと比べて、耐荷重性に優れている。 |
配線器具の取り換え方法
テーブルタップなど一部の家庭用配線器具を除いて、配線器具の設置・取り換えには電気工事士の資格が必要です。
無資格者による工事は違法であり、感電・火災事故などが起きる危険もあるため、専門業者に依頼するようにしましょう。
配線器具の寿命と交換時期
配線器具の寿命は一般的に10年ほどといわれており、以下のような破損・症状等がみられる場合は使い続けると火災などの事故の危険性があるため交換が必要です。
配線器具 | 症状 |
コンセント | ・本体やカバーが熱くなる。 ・本体やカバーにひび割れ、変形が生じている。 ・差し込む力が弱く、コンセントプラグが抜けやすい。 |
スイッチ | ・本体やカバーが熱くなる。 ・本体やカバーにひび割れ、変形が生じている。 ・スイッチを押したときの手ごたえが異常に軽い。 |
天井配線器具 | ・照明がきちんと取り付けられないor落下する。 ・本体にひび割れや変形がある。 |
取り換え工事の手順
1.ブレーカーを切り離す
感電事故防止のため、該当の配線器具に対応する回路のブレーカーを切ります。
検電器がある場合は、工事の前にもう一度使用して、きちんと無電圧になっているかを確認しましょう。
2.配線器具を取り外す
スイッチ、コンセントの場合はカバーを開けると埋込連用枠が露出して取り外しができるようになります。
連用枠からの取り外しには、マイナスドライバーを使うほか、専用のプレート外しキーもあります。
天井配線器具の場合は、本体が天井にビス止め等されている場合がほとんどですので、まずこちらを取り外します。配線器具には電線が接続されていますが、一度器具に差した部分を再利用することはありませんので、適当なところで電線を切断します。
3.新しい配線器具を用意し、電線を取りつける
電線は被覆でカバーされているため、そのままで配線器具に取り付けることはできません。
電線の被覆を剥く際は、配線器具にあるストリップゲージに合わせるとぴったりの長さになります。
4.配線器具を再び取り付けて完成です。
電線を差し込んだあとは、配線器具を再び連用枠または天井に取り付けます。
天井配線器具の場合は、ビス止めの位置を変える必要がある場合があります。
その際は、きちんとビスが下地に利いている場所を選んで取り付けましょう。
取り換えが済んだ後は、ブレーカーを投入してきちんと器具が使用できるか動作確認をしましょう。
まとめ
コンセントやスイッチ、引掛けローゼット・シーリングなどの配線器具は、家庭内やオフィス内での電気使用を支え、使用頻度も非常に高い電材です。それぞれどのような種類・特徴があるのかを覚えておくと、実際に使用・購入する際に役に立つかと思います。