アンテナの種類と選び方

アンテナとは(1024×341)

2011年に、テレビ放送がアナログから地上デジタルへ完全移行しました。地上デジタル放送を見るならUHFアンテナを使い、衛星放送を見るならBSアンテナやCSアンテナを使うことが一般的ですが、UHFアンテナには複数の種類が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。アンテナの種類やその特徴を正しく理解し、適切なアンテナを選ぶようにしましょう。

UHFアンテナ

UHFアンテナは、地デジの放送波を受信するために必要な、「UHF帯専用」のアンテナです。UHFとは「極超短波」の略で、周波数が300MHz〜3GHzまでの電波を指します。この帯域は、地デジ放送や携帯電話、無線LANなどの通信に使用されますが、特にテレビ放送では470MHz〜710MHzの帯域が使用されます。テレビ局はこの電波を区切り、チャンネルを割り当てて送信しています。

UHFアンテナの種類

UHFアンテナは、その形状により大きく3種類に分けられます。

八木式アンテナ

八木式アンテナ


魚の骨のような形をしたアンテナで、一般家庭でもよく目にしますが、建物の景観を損ねるとして嫌われることもあります。
高い位置に取り付けるため、電波を受信しやすい点がメリットで、電波の強弱に応じた「素子数」を選択する必要があります。

平面アンテナ

平面アンテナ


「フラットアンテナ」とも呼ばれる平面状のアンテナで、壁面に取り付けて使用します。スッキリとしたデザインが特徴で、建物の外観を損ねることなく設置ができます。八木式アンテナを取り付けることができない片流れ屋根などの建物にも適しています。ただし、取り付け位置が低い場合は、ブースターが必要になることもあるため、注意が必要です。

室内アンテナ

室内アンテナ


室内アンテナは、小型の地デジ用アンテナで、室内に置いて使用します。設置工事が不要で、簡単に設置できるため、手軽に使用できます。特に地デジ放送が整備されていない集合住宅などでの使用に適しています。ただ、電波の受信が不安定であるため、放送が視聴できない可能性があるため、電波が弱い地域では使用を避けることが望ましいです。

電界地域について

電波は親局・中継局から遠ざかるほど弱くなります。したがって、アンテナの選択には、テレビを視聴する場所と中継局との距離が重要な要素となります。電界地域は、以下の通り「強」「中」「弱」の3つに分類され、使用するアンテナの種類は、受信可能な電界の強度によって異なります。

  • ・強電界地域(80dBμV/m):4~8素子の八木式・平面式アンテナ、室内アンテナ
  • ・中電界地域(70dBμV/m):14~20素子の八木式・平面アンテナ
  • ・弱電界地域(60dBμV/m):20~26素子の八木式・平面アンテナ

動作利得について

動作利得は、アンテナの受信感度を示す指標です。動作利得の値が高いほど、受信しやすいアンテナとなります。アンテナを選ぶ際には、動作利得を参考にすることが重要です。動作利得はアンテナの素子数に比例します。素子はアンテナの物理的な棒状部分であり、反射器と放射器をそれぞれ「1素子」とカウントし、導波器の数を加えます。素子数が多いほど、利得が高くなる傾向があります。たとえば、素子数が18個の場合、反射器と放射器の数に18を加えて、「20素子のアンテナ」と呼ばれます。

偏波面について

偏波面とは、電波が進む際に振動する平面のことを指します。UHF放送では、中継局ごとに使用される偏波面が異なるため、受信する中継局の偏波面に合わせて、垂直または水平方向のアンテナを選択する必要があります。注意してアンテナを選びましょう。

CSアンテナ・BSアンテナ

CS・BSは、どちらも静止衛星を利用した衛星放送を指し、CSは「コミュニケーションサテライト(通信衛星)」、BSは「ブロードキャストサテライト(放送衛星)」を略したものです。それぞれ別の衛星を使用していますが、南西方向に同じ位置にあるため、同じアンテナで受信することができます。

専用のアンテナ(パラボラアンテナ)を使用してCS・BS放送を受信する必要があり、UHFアンテナでは受信できません。また、衛星の位置を受信できるように、周囲に障害物がないことを確認して設置する必要があります。受信するためには、アンテナケーブルとチューナー内蔵のテレビが必要です。テレビにチューナーが内蔵されていない場合は、別途用意する必要があります。

BSは地上波放送と似た番組構成で、ドラマやニュースなどを中心に放送されます。一方、CSはスポーツやアニメなど専門チャンネルが多く、受信料や契約料を考慮して、ニーズに合っている方を契約することをおすすめします。

まとめ

快適なテレビ視聴のためには、地域や立地条件に応じた適切なアンテナを選択することが大切です。多くの人が「アンテナはどれも同じ」と考えがちですが、実際にはアンテナの種類だけでなく、規格にも注意が必要です。適切なアンテナを選ぶことで、映像の品質が向上するだけでなく、受信可能な放送局の数も増える場合があります。

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